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循環器科

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(1)当院の循環器科について

動物の高齢化に伴い、人間と同様に心臓病が増えています。犬・猫が亡くなる原因として、心臓病は、ガンと共に「3大死因」の1つになっています。
当院では、僧帽弁閉鎖不全症、拡張型心筋症など、循環器症状・疾患について診療を行っております。二次診療を行っている動物病院への紹介も行っておりますので、ご相談ください。

代表的な症例
僧帽弁閉鎖不全症、動脈管開存症(PDA)、心筋症、心タンポナーデ、フィラリア症

(2)よくある症例と原因について

【僧帽弁閉鎖不全症】
原因と症状

僧帽弁閉鎖不全は老齢の小型犬での発症が多い心臓の病気で、心臓の左心房と左心室の間にあり血液を送り出すために開いたり閉じたりする機能を持つ弁である僧帽弁が、なんらかの原因で変性し、閉鎖不全が生じるために起こる病気です。初期段階では無症状が多いですが、進行すると喉につっかえるような咳をしたり、激しい運動や興奮時に倒れてしまったりします。さらに重症になると肺水腫を起こし呼吸困難から死に至る場合もあります。

<多い犬種>

マルチーズ、ヨークシャー・テリア、シーズー、キャバリアなど

<治療法>

手術による外科手術と薬による治療があります。手術の場合は高度な技術と設備を要するため二次診療病院へ紹介という形になります。薬による治療でも完治はできないので症状を抑え、進行をゆっくりにすることを目的とした治療になります。基本的に、一生投薬が必要で、病気の進行に伴って、使用する薬も複数となることがほとんどです。早期発見することが重要となります。


【動脈管開存症(PDA)】
原因と症状

動脈管とは、赤ちゃんがお母さんのお腹の中にいるときに、肺動脈から大動脈への抜け道になっている血管のことを呼びます。出生後は不要となるため、通常は生後2~3日で完全に閉じますが、何らかの理由によって閉鎖せずに残っている病気が動脈管開存症です。遺伝かもしくは妊娠中に疾患を持ってしまうことが原因になります。初期症状では無症状なことが多いですが、進行が進むと咳き込んだり、運動するとすぐ疲れてしまったり、呼吸障害がおこったりします。

<多い犬種>

プードル、ミニチュア・ダックスフンド、ポメラニアン、マルチーズ、コリー、シェトランド・シープドッグなど

<治療法>

根本的な治療は外科的治療になります。手術により動脈管を糸で結び閉鎖します。しかし状態が末期だと、外科的治療は不適応とされています。根本的な治療ではありませんが、外科的治療前の状態の安定化や心臓の状態改善のために、内服などによる内科的治療も行われることがあります。初期症状ではわかりにくいので、しっかりと健康診断をうけましょう。


【心筋症】
原因と症状

心筋(心臓を構成する筋肉)が何らかの原因により、通常の厚さよりも厚くなったり薄くなったりするという異常を起こし、心臓の働きが弱くなる病気です。原因ははっきりしておらず、「拡張型心筋症」や「肥大型心筋症」などの病態があります。元気消失、食欲低下、体重の減少、運動を嫌がる、などの症状がみられ、ひどくなると肺水腫や呼吸困難を引き起こすこともあります。

<多い犬種>

ドーベルマン、グレート・デン、ボクサー、セント・バーナード、コッカ―スパニエルなど

<治療法>

心筋症そのものの治療は出来ませんが、症状に合わせた薬剤による治療を行います。日常生活では、激しい運動は避け、症状に合わせて適度な運動をすること、心臓病用の療法食を利用することにより、塩分を摂りすぎないように注意することなどが必要です。


【心タンポナーデ】
原因と症状

心臓を保護している膜と心臓の空間である心膜腔内には、心膜液と呼ばれる水があります。その心膜液が多量に溜まる状態を心膜液貯留といい、心膜腔内圧が心臓の拡張する圧力を上回ってしまった状態をさします。原因としては血管肉腫などの腫瘍性のものが多く、元気消失、食欲不振、咳といった症状が見られます。迅速に対応すれば助かる病気です。急に立てなくなった、といった症状がみられた場合はすぐに病院へ連れて行きましょう。

<多い犬種>

ゴールデン・レトリーバーやジャーマン・シェパードなど

<治療法>

心膜液の貯留の程度や速度を考慮した上で、心膜穿刺(しんまくせんし:針などを刺して心膜液を抜くこと)によって定期的に心膜液を除去する必要があります。一時的には心臓は圧迫が解除され働きは改善しますが、心臓腫瘍が原因の場合には繰り返し心タンポナーデを発症する場合があり、その際には手術で心臓を包んでいる心膜を切除することを検討します。


【フィラリア症】
原因と症状

フィラリアという寄生虫が犬の心臓にある肺動脈に寄生することで、心臓に機能障害が起こる病気です。原因はフィラリアに感染している犬や猫から感染していない犬や猫へ、蚊が媒介となって広がっていくことです。症状としては元気や食欲の消失、咳、呼吸障害、おなかに水がたまる(腹水)などがみられます。猫の場合は主に肺に障害を起こし、咳、呼吸困難、嘔吐などの症状がでたときはすでに重篤な状態です。フィラリア症は薬で予防できるのできちんと毎年予防をしましょう。

<多い犬種> 全ての犬種でリスクがあります。 <治療法>

フィラリア症は完治することが難しく、予防をしっかりとすることを強くお勧めします。
治療は、犬の年齢、寄生状況などを注意深く診察してから、その子に合わせた療法で処置をします。いずれにしてもリスクがありますが、一般的に外科的な摘出手術、フィラリアを駆除する薬剤を使った治療、予防薬の長期投与、の3通りの治療法があります。
また、もしフィラリアが寄生した状態で予防薬を投与してしまうと、激しいアレルギー反応が起こる可能性があり大変危険です。予防薬の投薬を始める際には必ず獣医師の診察を受けましょう。