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皮膚科

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・皮膚科

(1)当院の皮膚科について

痒み・脱毛・腫瘤(できもの)・アレルギー・外耳炎など皮膚に関する疾患の診療を行います。皮膚病の場合、普段の食事・シャンプーなどの生活環境や、これまでの投薬歴などが治療の重要なカギとなることがあるため、診察の際はしっかりとしたヒアリングをさせていただいております。また、ホルモンや内臓の異常が原因となっていることもありますので、皮膚だけでなく全身をくまなくチェックさせていただきます。皮膚を健康に保つための、食事療法やシャンプーなどのホームケアについてもアドバイスしています。

代表的な症例
アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー性皮膚炎、膿皮症、皮膚糸状菌症、マラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)

(2)よくある症例と原因について

【アトピー性皮膚炎】
原因と症状

遺伝的な素因があり、室内棲息ダニや花粉など環境中のアレルゲンに対してアレルギー反応を起こすものです。アレルギーが原因なので他の犬にうつることはありません。目の周囲、口の周り、耳、四肢、脇、肛門の周りなどに強い痒みと赤みを引き起こすことが特徴です。犬に多い病気で、多くの場合は生後6ヶ月〜3歳という比較的若い年齢で発症します。かゆみから患部を掻き壊してしまうことで、炎症や脱毛、色素沈着が生じます。完治は難しく、上手に付き合っていくことが重要になります。

<多い犬種>

柴犬、フレンチブルドッグ、シーズー、ウェストハイランドホワイトテリアなど

<治療法>

かゆみや症状を緩和するための薬物療法、スキンケアを組み合わせて行います。食事を工夫したりサプリメントで栄養を取り入れることも、広い意味で治療といえるでしょう。
主に使用される経口薬の経口ステロイドはさまざまな臓器や組織に副作用が発症しやすいですが皮膚のかゆみや炎症を強力に抑制します。また最近では犬たちのことを考えた、副作用を抑えつつ皮膚のかゆみと症状をすばやく緩和するオクラシチニブの経口投与やロキベトマブの注射も行うことがあります。


【ノミアレルギー性皮膚炎】
原因と症状

ノミに刺された際に注入される唾液の成分に対してアレルギー反応を起こす炎症反応で、夏から初冬にかけて多く発症します。腰、肛門周囲、尾にかけて非常に痒がります。始めは赤い発疹ができ、赤く腫れます。痒みが激しくなると、眠れなくなることもあります。痒くてひっかくことで、二次感染が起きたり、広い範囲の脱毛を生じてしまうこともあります。ノミダニ予防薬により予防できるので対策をしましょう。

<多い犬種>

柴犬、シーズーなど

<治療法>

皮膚に垂らすタイプのスポット薬が以前から使用されていますが、最近は飲み薬(チュアブルタイプ)もあり、チアブルタイプはシャンプーのタイミングなどを気にせず使用できます。
また、炎症や掻き壊しなどにより生じた二次的な皮膚病に対する治療も必要になります。何よりも、日頃からノミの予防を行っておくことがノミアレルギー性皮膚炎の予防につながります
。 特にアレルギー体質の皮膚の弱い犬は、暑い時期に限らず、1年を通してノミ予防を行っておくことをお勧めします。
ノミはイヌ条虫という寄生虫を運ぶ役割も行うので、ノミの駆除は大切です。


【膿皮症】
原因と症状

膿皮症は、犬の皮膚病の中でも多くみられます。皮膚のバリア機能や免疫力が低下することやシャンプーのしすぎ、しなさすぎで、もともと皮膚に常在している黄色ブドウ球菌などが皮膚に侵入、増殖して細菌感染を起こします。症状としては、湿疹、かゆみ、発赤、脱毛やフケなどの皮膚症状が挙げられます。全身で起こりますが、内ももや脇、お腹に症状が出ることが多いです。

<多い犬種>

シェットランド・シープドック、ブルドック、パグ、ボストン・テリア、ジャーマン・シェパードなど

<治療法>

内服薬(抗生物質)で治療するのが一般的です。症状の程度によっては内服薬と薬用シャンプー療法を行う場合もあります。予防のためにもシャンプーは2、3週間に1度程度はしましょう。


【皮膚糸状菌症】
原因と症状

犬の皮膚糸状菌症(ひふしじょうきんしょう)は、糸状菌という真菌(カビ)に感染し皮膚に症状を起こす病気です。犬に感染する主な糸状菌はいくつかあり、人やほかのペットへ移り寄生するものもあるので気を付けなければなりません。犬の皮膚糸状菌症の原因は皮膚糸状菌に感染している犬との接触や環境中のほこり、また汚染した用具や器具により感染すると考えられています。抵抗力が弱い子犬や成犬でも免疫力の低下している犬はかかりやすい傾向にあります。皮膚の赤みやフケ、かさぶたを伴う円形脱毛などが主な症状です。

<多い犬種>

ヨークシャーテリアなど

<治療法>

皮膚糸状菌症の治療は、投薬治療(内用、外用)と抗真菌薬の入った薬用シャンプーを使った薬浴があります。細菌感染を併発している場合には、抗生剤も使用します。他の動物にも感染するため、早めの治療が必要です。内服薬を使用する場合、症状が軽くなるまで1カ月位かかりますが、その後もしばらく投薬を続ける必要があります。また、感染している動物との接触などによって人にも感染し、湿疹を作ることがありますので、特に抵抗力の低い子供やお年寄りは注意が必要です。治療と同時に環境の洗浄化を行う事も大切です。


【マラセチア皮膚炎(脂漏性皮膚炎)】
原因と症状

皮膚に存在するマラセチア菌(真菌)が過剰に増殖し、かゆみを伴う症状が引き起こされる状態をマラセチア皮膚炎と言います。マラセチア菌は湿度の高い環境下で増殖しやすく、梅雨の時期には注意が必要です。主な症状としては、赤みやかゆみ、脂漏、フケ、べたつきなどといったことがあげられます。症状が進行すると、犬の毛が抜けたり、皮膚が厚く・硬くなったり、黒く色素沈着したりするケースもあります。なお、爪に感染していると、表面が脂っぽくなるのも症状のひとつです。適度なシャンプーや皮脂の分泌を抑えるフードを与えるなどして予防ができます。

<多い犬種>

シーズー、ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア、アメリカン・コッカー・スパニエル、プードル、柴犬など

<治療法>

基本的な治療としては、抗真菌薬による飲み薬による治療と、マラセチアに対して殺菌作用のある薬剤(ミコナゾールなどの抗真菌薬)や効果のある物質(硫黄、セレンなど)を含むような薬用シャンプー、軟膏などの塗り薬による外用療法になります。
シャンプーによる日々のスキンケアは、脂漏体質の場合には重要なポイントです。治療しはじめの頃や重度の脂漏症では、週に2回シャンプーが必要になることもあります。保湿をしっかりと行いながら皮脂を落とし、本来備わっている皮膚のバリア機能を改善していくことが大切です。