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泌尿器科

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・泌尿器科

(1)当院の泌尿器科について

泌尿器科は腎臓や膀胱などの疾患に対応する科目です。
泌尿器の疾患は頻尿・血尿・尿が出ないなど様々な症状が出ます。
腎臓機能の低下や結石、細菌感染など、その原因は様々です。
こういった疾患に対して、外科と内科の両面から治療を行える体制を整えております。

代表的な症例
膀胱炎、尿石症、腎臓病、子宮蓄膿症

(2)よくある症例と原因について

【細菌性膀胱炎】
原因と症状

会陰部、消化器、生殖器、あるいは周辺皮膚の常在菌が尿道を介して上行性に感染して起こります。症状としては残尿感から頻繁にトイレに行ったり、排尿に時間がかかったり、排尿痛があったり、血尿が出たりといった症状がみられます。

<多い犬種>

ミニチュア・シュナウザー、ウェルシュ・コーギー、ダルメシアンなど

<治療法>

細菌感染が原因であるため、抗菌薬の投与を行います。単純な細菌性膀胱炎であれば、2週間程度で治ることも多いです。投薬により症状が治まった時点でも少量の細菌が残っている可能性があるので、尿検査で細菌がいないことを確認します。


【尿石症】
原因と症状

尿石症とは、尿石によって引き起こされるさまざまな病気を含み、血尿や膀胱炎、場合によっては尿道閉塞を引き起こします。根本的原因には体質がありますが、食事内容や遺伝的な代謝異常、他の病気(門脈体循環シャントなど)が原因となることがあります。症状としては頻尿、血尿、排尿痛、普段しっかりとトイレができる子が粗相をしてしまう、といったことが見られます。尿道閉塞が起こり、尿が出せなくなってしまうと、本来体外に出すべき老廃物が血液中に増加し、尿毒症になってしまったり、膀胱破裂を起こしてしまうこともあり、命に関わります。

<多い犬種> ダルメシアン、ミニチュア・シュナウザー、ヨークシャー・テリア、シー・ズー、ラサアプソ、ブルドッグ、ダックスフンド、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなど <治療法>

治療は、外科的に結石を摘出するか、食事療法や内科療法が行われます。水分をしっかりとること、ストレスを減らし、食事のミネラルやタンパク質の量を適正に保つことが予防につながります。肥満も結石のリスク要因なので、太らせないようにしましょう。結石ができやすい犬には、結石に応じた予防になる療法食を与えるのも予防へつながります。
おすすめの食事やおやつに関しては獣医師にご相談ください。


【腎臓病】
原因と症状

加齢のほかに多くは腎臓に障害を起こす疾患が原因となることが多いです。病気が進行する早さにより「急性腎障害」と「慢性腎臓病」に分けられます。腎臓の機能が弱ってしまい、老廃物がうまく排泄できずに身体に貯まってしまう病気です。急性腎障害は、毒物や薬物の摂取や脱水、尿路閉塞などで引き起こされ、急激に腎臓が働かなくなりますが、治療によって原因が改善されれば、腎臓の機能が回復する余地はあります。慢性腎臓病は、ゆっくりと進行し、治療をしても腎臓の機能は戻りません。食欲不振、下痢、嘔吐、脱水、多飲多尿などの症状や貧血といった症状が起こります。初期症状がないことも多く定期的に健康診断をすることが大切です。

<多い犬種>

慢性腎臓病は全ての犬種において高齢期にかかりやすい病気です。

<治療法>

急性腎障害の場合では、入院治療が一般的で、積極的な輸液療法(水分や電解質などを点滴で投与)を行います。慢性腎臓病の場合では、腎臓に負担をかけないようにするための内服薬や処方食が処方されます。脱水がみられる際は、皮下輸液なども行います。慢性腎臓病は治せないので、基本的に処方された薬や食事は生涯続けることになります。進行を遅らせるためには、食事中のタンパク質、リン、ナトリウムを制限した上で必要なカロリーを効率的に補給することができる慢性腎臓病用の療法食が適しています。慢性腎臓病用の療法食を食べていた慢性腎臓病のネコちゃんの発症後の生存期間は、食べていなかったネコちゃんに比べて倍以上であることがわかっています。なるべく早期から慢性腎臓病用の療法食を与えることが勧められています。


【子宮蓄膿症】
原因と症状

避妊手術を受けていない高齢の雌の犬によく見られる、子宮内膜が腫れ、そこに細菌感染を起こし、子宮内に膿がたまる病気です。黄体ホルモンの分泌により子宮が肥厚する、という状態を何度も繰り返すと感染しやすくなるため、発情期をたくさん経験し、高齢になるほど発症リスクが高くなります。陰部から膿が出る、発情出血がいつもより長い、多飲多尿、発熱、嘔吐や下痢といった症状がみられたらすぐに獣医師にご相談ください。

<多い犬種>

犬種での差はなく、避妊手術をしていない雌の高齢犬でみられることが多いです。

<治療法>

動物病院で子宮蓄膿症だと診断された場合、緊急管理で即入院になることがほとんどです。全身状態に問題がなければすぐに子宮と卵巣を摘出する手術をします。他の疾患を患っていた場合、高齢犬には手術の負担が大きいため、抗生剤投与と輸液療法により体力の回復を待ってから手術を行うこともあります。